1966年 雨にあたるりら 西村計雄

画伯57歳 M50 油彩 2023/11/19落札

私の西村計雄コレクション45点(2025年2月26日現在)の中で最高峰に君臨する作品である。

それまでは日本でベールに包まれていたパリで活躍中の日本人画家・西村計雄が、1968年(昭和43年)7月16日から7月24日まで東京・上野の日本美術協会において毎日新聞社の肝煎りで開催された大作中心の大個展「西村計雄個展」で画壇やジャーナリズムにその全貌を現すことになった、その記念すべき大個展のパンフレットの表紙を飾っているのがこの「雨にあたるりら」である。

この絵の前に立つと、作品から放たれるオーラが圧倒的で凄すぎてしばし我を忘れて見入ってしまう。

実はこの絵を手に入れる2週間前に、初めて北海道の西村計雄記念美術館を訪れて、その素晴らしい作品群を鑑賞させていただいたばかりであったが、それらの作品群にまったく負けていない迫力がこの絵には感じられる。

おそらく西村計雄の画業を語る中では外すことのできない代表作中の代表作であり、私が個人で所有するような作品ではなく、将来的にはどこかの美術館に寄贈か寄託をして後世に残さなければならない、そして末永く多くの皆さんに鑑賞していただけるようにしなければならない作品だと思っている。

1968年の西村計雄個展パンフレット

細かい話ですが、個展パンフレットでは「雨にぬれるりら」になっています。

キャンバス裏は「雨にあたるりら」になっています。

誤植は考えづらいので、「あたる」より「ぬれる」のほうがわかりやすいと判断して、個展用に画題を変更したのではと思ってます。

この絵では画伯の鋭い縦線で雨の落ちる動きが表現されているため、「ぬれる」の静的な表現よりも「あたる」の雨の落ちてくる動的な表現の方が作品にふさわしいと、個人的には思っています。

Uchihara美術館 西村計雄を中心に

インターネットオークションで収集した絵画を、WEB美術館として紹介しています。 (不定期更新です)

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